「赤ちゃんが大きくなれば、育児は少しずつ楽になる。」
そう思われることがあります。
しかし実際には、産後5〜10か月頃になると、
- 離乳食が始まる
- 寝返りやハイハイで目が離せなくなる
- 夜泣きが続くことがある
- 復職への準備が始まる
など、新しい悩みが増えてきます。
一方で、周囲からは「もう慣れた頃だよね」と思われやすく、支援を受ける機会が減ってしまうご家庭も少なくありません。
実は、この時期の「サポート」の大切さは、多くの研究で示されています。
社会的な支えがある人ほど、心の負担は少ない
2023年に発表された縦断研究では、出産直後から産後6か月まで母親を追跡しました。
その結果、
周囲からの支援が十分にあるお母さんほど、産後の抑うつ症状が少ないことが分かりました。
さらに、時間が経つにつれて社会的支援は減少し、心の負担は大きくなる傾向も報告されています。
つまり、「時間が解決してくれる」とは限らず、支え続けてもらえる環境がとても大切なのです。
定期的な訪問支援は、お母さんの心を支える
家庭へ継続的に訪問する支援について調べた研究では、
- 抑うつ症状の改善
- 心理的な満足感の向上
- 心理社会的な困りごとの改善
が報告されています。
もちろん、訪問支援だけで産後うつを予防・治療できるとは言えません。
しかし、「定期的に誰かが来てくれる」「困ったときに相談できる」という環境は、お母さんの心の支えになる可能性が示されています。
妊娠中から支援が少ない人ほど、育児ストレスが高くなりやすい
妊娠中から産後まで追跡した研究では、
社会的支援が少ない家庭ほど、産後6か月時点で育児ストレスが高いことが報告されています。
産後に突然支援を増やすのではなく、妊娠中から「頼れる人」や「相談できる場所」を作っておくことの大切さが分かります。
パートナーの支えも、お母さんの心に大きく影響する
約15,000組を対象とした大規模コホート研究では、
パートナーから十分な支援を受けているお母さんほど、産後うつの症状が少ないことが示されました。
育児は、お母さん一人で頑張るものではありません。
パートナーや家族、地域の支援を上手に活用することも、赤ちゃんにとって大切な育児環境の一つです。
「頼ること」は、育児の一部です
「もう少し頑張れば大丈夫。」
そう思っているうちに、心も体も疲れ切ってしまう方は少なくありません。
研究からも分かっているのは、
お母さんが一人で頑張り続けることよりも、安心して頼れる環境があることの方が、心の健康につながるということです。
みかづきが目指していること
みかづきは、「赤ちゃんを預かる場所」を目指しているわけではありません。
助産師として、
- 赤ちゃんの成長を一緒に見守ること
- お母さんが少しでも休める時間をつくること
- 不安や悩みを安心して相談できること
- 「また来てほしい」と思える存在になること
を大切にしています。
困ってからではなく、困る前に頼る。
その積み重ねが、お母さんにも赤ちゃんにも、より穏やかな毎日につながると考えています。
参考文献
- Zheng Y, et al. Journal of Clinical Nursing. 2023.(産後6か月までの縦断研究:社会的支援と産後うつの関連)
産後2日から6か月まで母親を追跡した研究。時間の経過とともに社会的支援は減少し、支援が少ないお母さんほど抑うつ症状が強いことが示された。継続して支えてくれる人の存在が、母親の心の健康に重要であることが示唆されている。 - BMJ Mental Health. 2026.(継続的な訪問支援と母親のメンタルヘルス)
家庭への継続的な訪問支援を受けた母親を追跡した研究。訪問支援を受けたグループでは、抑うつ症状や心理的な負担が改善し、精神的な満足感が高くなった。定期的な支援の重要性を示す研究の一つ。 - Children and Youth Services Review. 2025.(妊娠中からの社会的支援と産後6か月の育児ストレス)
妊娠中から産後6か月まで追跡した研究。妊娠中から十分な支援を受けられなかった家庭ほど、産後6か月時点で育児ストレスが高くなることが報告された。支援は「困ってから」ではなく、早い段階から整えることが重要であることが示唆された - ELFE Birth Cohort Study(約15,000組を対象としたコホート研究:パートナー支援と産後うつ)
フランス全国で約15,000組の親子を追跡した大規模研究。パートナーから十分な支援を受けているお母さんほど、産後うつの症状が少ないことが報告された。育児は一人ではなく、家族全体で支えることの大切さが示されている。
