研究からわかっていること
「どんな大人になってほしいですか?」
そう聞かれたら、あなたは何と答えますか。
勉強ができる子でしょうか。
運動が得意な子でしょうか。
もちろんそれも素敵です。
でも、多くの親御さんが願うのは、
「自分を大切にできる人になってほしい。」
「困ったときに誰かを頼れる人になってほしい。」
「人を思いやれる人になってほしい。」
そんな姿ではないでしょうか。
実は、こうした力の土台になるものが、0〜6歳の時期に少しずつ育っていくことが、多くの研究で示されています。
その土台になるのが「安心できる大人」の存在です
泣いたら抱っこしてもらえる。
目を見て笑いかけてもらう。
不安なときに「大丈夫だよ」と安心させてもらう。
こうした経験を何千回、何万回と積み重ねながら、
「困ったときは助けてもらえる。」
「自分は大切にされる存在なんだ。」
という感覚を育てていきます。
この感覚は、心理学では「愛着(アタッチメント)」と呼ばれています。
そして、この愛着が安定している子どもほど、その後の追跡研究で
- 人との関係を築きやすい
- 感情を調整しやすい
- 新しいことに挑戦しやすい
- 学習への意欲が高い
などの傾向が報告されています。
もちろん、子どもの成長は愛着だけで決まるものではありませんが、
「安心できる大人との安定した関わり」が、人生の土台となる重要な要素の一つであることは、多くの縦断研究で繰り返し示されています。
「ちゃんと遊ばなきゃ」と思わなくて大丈夫
子どもにとって大切なのは、高価なおもちゃでも、毎日のイベントでもありません。
安心できる大人と過ごす、何気ない時間。
その積み重ねこそが、心を育てていきます。
今日からできることは、たった3つ
まずは、この3つだけ意識してみてください。
☐ 子どもの目を見て笑顔で話しかける
「おはよう。」「おいしいね。」
そんな短い言葉でも十分です。
☐ 子どもが何か伝えようとしたら、一度立ち止まって応える
言葉になっていなくても大丈夫。
「教えてくれたんだね。」
そんなやり取りの積み重ねが安心感につながります。
☐ 子どものやりたい遊びに付き合う
子どもが夢中になっていることを、一緒に楽しんでみましょう
最後に
子育てには、たくさんの情報があります。
だからこそ、「全部やらなきゃ」と苦しくなってしまうこともあります。
でも、研究から見えていることは、とてもシンプルです。
子どもは、安心できる大人との毎日の関わりの中で育っていきます。
完璧な親である必要はありません。
ぜひ今日からできる3つ取り入れてみてください
参考文献(一部)
①NICHD Study of Early Child Care and Youth Development
アメリカで約1,300人の子どもを18歳まで追跡した研究。乳幼児期に安心できる大人と安定した関わりを経験した子どもほど、その後の社会性や学習への意欲、対人関係などが良好であることが報告されています。
②Sroufe LA, Egeland B, Carlson EA, Collins WA. The Development of the Person.
同じ子どもたちを18歳頃まで追跡した研究。乳幼児期に応答的な養育を受けた子どもほど、思春期になっても安定した対人関係を築きやすく、自分の感情を調整する力や社会性が良好である傾向が報告されています。つまり、乳幼児期の関わりは「その時期だけ」のものではなく、その後の成長にも長く関係している可能性が示されています。
③WHO. Nurturing Care for Early Childhood Deve
オーストラリアで親子を乳児期から幼児期まで追跡した研究。子どもの気持ちに寄り添い、サインに応えながら関わる養育を受けた子どもほど、安心できる大人との信頼関係(安定した愛着)が育ちやすいことが報告されています。また、一度育まれた安定した愛着は、その後の幼児期にも維持されやすいことが示されました。
